ねじの締結において最も多いクレームは、「ねじの緩みと折損」である。ねじの緩みは軸力の低下により発生する。ねじの折損は、最大軸力を超えて締め付けた場合や過少軸力によるねじの緩みから発生する。最大の原因は、締め付けの際の軸力のバラツキであり、接触面の摩擦係数のバラツキが起因となっている。本製品は、その2大クレームを解消するとともに、最も難しいと言われた軸力の安定付与を実現させたねじである。
具体的には、ねじ山を基準山形よりも座面側へわずかに傾斜させ、弾性変形させることでバネ反力を発生させ、強力な緩み防止力を実現した。又、ねじ山頂部に接触圧力を集中させることにより、ねじ面全体の摩擦の影響を受けにくくし、±30%といわれる軸力のバラツキを1/2程度に抑えた。谷底は、独自の大きなR形状とすることで応力集中を緩和させ、標準品の1.2倍程度の疲労強度を達成した。ねじ山のたわみが、外力によるボルト軸のねじれを減少させることで緩みを抑え込み、ねじ面の形状誤差を吸収することで、軸力の安定と片当たり緩和につながる構造となっている。
本製品は、接着剤のようにカスがコンタミになることもなく、高温にも強い。又、締め付け管理も楽で、高い軸力を維持することができる。さらに、通常のねじとほとんど変わらない価格であることも大きな特徴である。
製品化にあたっては、経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)と名古屋市工業研究所の支援を受けたことを記すとともに、協力して頂いた方々に感謝の意を表する次第である。